『正法眼蔵随聞記』

正法眼蔵随聞記」は、道元禅師が弟子達に話したことを、弟子の懐弉(えいじょう)禅師が書き留めたもの。仏道を得るための修行の心がけ等について書かれている。

 

禅宗仏教にあまり関心がなくても、「教育者としてどうあるべきか」、「夢を達成ための姿勢」、「人付き合い」に関する本として、是非一度は読んで頂きたいと思う。道元禅師が、人の心情を深く理解して、弟子や先輩達と上手に接してきた様子が分かり、大変参考になる。

 

少しだけ言葉を引用して紹介します。

 

・自分が愚かであるからとか、自分はにぶいからとかいって、卑下してはならぬ。この世に生きてあるうちに志を立てなかったら、いずれのときに志を立てるというのか。

 

・たとい、打たねばならぬ者を打ち、叱り責めなくてはならぬ者を叱り責めるとしても、決して悪しざまに悪口をいってそしりとがめるなどという心を起こすことがあってはならぬ。(中略)ましてや、そのような位置にないのに、人の短所を言い、他人の過ちをそしるのは、よろしくない。

 

・たとえ自分が道理をもっていっている場合でも、相手が間違ったことをいったのに対し、これを理づめで攻めていい負かすのは、いけないことだ。次に、自分では、たしかに道理と思っても、「私の方が間違ってると思います」などといって、負けて引きさがるのも、軽はずみというものだ。ただ、相手をもいい負かさず、自分の方の間違いだとしてもしまわずに、決着をつけずそのままにして、やめてしまうのがよいのである。耳に聞きいれぬようにして忘れてしまえば、相手も忘れて怒らないものである。

 

・慈悲の心があり道を求める心があって、しかも愚かな人々に悪口をいわれ非難される。それは少しも気にすることはない。むしろ、道をはげむ心がないのに、有徳な人と思われることがないように、このところを、よくよく気をつけねばならぬ。

 

・自分に従う侍者や従者であるからといって、大声で叱り責めたり困らせたりしてはならぬ。

 

・本当に立派な人は、立派な人であるということをあらわさぬようにする。

 

正法眼蔵随聞記 (講談社学術文庫)

正法眼蔵随聞記 (講談社学術文庫)