『老子』

論語」と「孟子」を軸に孔孟思想が中国社会に支配的な影響を与える一方、それと対峙・補完するように受け継がれてきた思想が老荘思想。「老子」と「荘子」を軸としている。

 

老子」は無為自然の道を教えの核とし、それに基づいて独自の治世論や世渡り術等を論じている。有名なのが「柔よく剛を制す」という考え方。弱いものが強いものに勝ち、柔らかいものが硬いものに勝つという、一見逆説的な議論を展開している。

 

名言がたくさん詰まっていて大好きな本なのだが、僕はいまだに「道」とは結局何なのかが分からない。

 

いくつか言葉を引用して紹介します。

 

・これこそが理想的な「道」だといって人に示すことのできるような「道」は、一定不変の真実の「道」ではない。これこそが確かな「名」だといって言いあらわすことのできるような「名」は、一定不変の真実の「名」ではない。

 

・他人のことがよくわかるのは知恵のはたらきであるが、自分で自分のことがよくわかるのは、さらにすぐれた明智である。他人にうち勝つのは力があるからだが、自分で自分にうち勝つのは、ほんとうの強さである。

 満足することを知るのが、ほんとうの豊かさである。努力をして行いつづけるのが、目的を果たしていることである。自分の本来のありかたから離れないのが、永つづきのすることである。たとい死んでも、真実の「道」と一体になって滅びることのないのが、まことの長寿である。

 

・むつかしいことは、それがまだやさしいうちによく考え、大きなことは、それがまだ小さいうちにうまく処理する。世界の難問題も、必ずやさしいなんでもないことから起こり、世界の大事件も、必ず小さなちょっとしたことから起こるものだ。それゆえ、聖人は決して大きなことをしたりはしない。だからこそ、その大きなことを成しとげられるのだ。

 

・りっぱな武士というものはたけだけしくはない。すぐれた戦士は怒りをみせない。うまく敵に勝つものは敵と争わない。じょうずに人を使うものは人にへりくだっている。こういうのを「争わない徳」といい、こういうのを「人の力を利用する」といい、こういうのを「天とならぶ」ともいって、古くからの法則である。

 

老子 (講談社学術文庫)

老子 (講談社学術文庫)